宮崎県都城(みやこのじょう)市の都城市立図書館で昨年9月に開催された南九州エリアで初めてとなるフリーペーパーイベント「タダモノの祭典 全国フリーペーパー展in都城」。フリーペーパー愛好家や図書館関係者の間で大きな反響を呼び、盛況のうちに幕を閉じたことから今年も開催が決定しました!イベントの開催期間は9月3日から18日までの2週間。今年はさらにボリュームアップした内容の展示会を企画しているということで、フリペ通信もメディアパートナー兼選書担当として協力することになりました。当サイトでは展示会を盛り上げるために企画者のキクカワマサミさんにインタビューを決行。数回に分けて「全国フリーペーパー展」開催のきっかけや想い、裏話などを紹介していきます。
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・「全国フリーペーパー展」開催への道 #1 : 短絡的なイベントは好きではない。大切なのは日常を作ること。
― 第1回目のインタビューでは「第1回 全国フリーペーパー展」開催のきっかけや想いについて話を伺いました。今回は展示会までにどのような準備をしたのか話を聞いていこうと思います。まずは発行者の皆さんにどのように展示会への参加を打診したのか教えていただけますか。
展示会場である都城市立図書館のスタッフとボランティア、そして私の3人でチームを組み、全国各地でフリーペーパーを発行している皆さんに参加を呼びかけました。主催者はあくまでも図書館なので、私は作戦係として裏側でサポートしていきました。
― どのような方法でフリーペーパーを探していったのですか?
私自身がフリーペーパーに詳しくなかったので、まずはどのようなフリーペーパーがあるのか情報収集をしました。全国各地のフリーペーパーを紹介している本が図書館にあったので、それを参考にアプローチしていきました。でも、そのときに困ったことがあったんです。本のなかで掲載されていたフリーペーパーの大半が無くなっていたんですよね。
― それは厳しいですね。フリーペーパーを見つけても、現在は発行していない。創刊しても続けることが難しいという一面が見えてきたと思いますがどのような感想を持ちましたか?
現時点の考えですが、無くなったからといって発行されたフリーペーパーが色あせるということはないと思うんです。最新号を追う必要はなく、このときにこの話題を取り扱ったんだということがわかればいい。最新号至上主義は止めようとは考えましたね。
ジーンズでもヴィンテージってあるじゃないですか。ヴィンテージのフリーペーパーっていいですよね。何行目で「ナウい」とか使ってるよ、とか笑
昔のフリーペーパーを読むと面白いかもしれない。そういう意味で、過去に発行していたフリーペーパーを展示することができたら良いなと考え、古本屋を巡りました。昨年の展示会では冊子をあまり見つけることができなかったのが残念です。
― その他に情報を集めた方法はありますか?
展示するフリーペーパーを見つけることができなければ仕方ないので、インターネットで検索したり、遠方に住んでいる友人に連絡をとるなどして情報を集めていきました。古本屋だけでなく、いろいろな図書館も巡りました。フリーペーパーって結構、図書館に寄贈されるんですよ。特に鹿児島県の図書館はフリーペーパーの宝庫で面白いものがたくさんありました。
― 結構、図書館にも寄贈されているのですね。バックナンバーなどは保存されているのですか?
図書館によってフリーペーパーの扱いは千差万別のようです。全て保存されているという話はあまり聞きませんね。
- それはもったいない。私が全て引き取りたいくらいです!
ははは笑
― 様々なフリーペーパー情報が集まったと思いますが、そこからどのように出展媒体を選んでいったのですか?
都城市の人たちに違う世界を見せたいという想いがあったので、九州地域や都城市に関係しているかどうかを一切考えず、私自身が興味をもったフリーペーパーを取り寄せていきました。来場者に「こんなもの見たことない!」というような媒体を紹介したかったんです。
土木建築系総合カルチャーマガジン
『BLUE'S MAGAZINE』などは一目見て展示したいと思いました。すぐに連絡を取ったところ、快く創刊準備号を提供していただきました。
― 発行者の皆さんの反応はどうでした?
フリーペーパーを送付してもらえませんかという話をしたとき、ほとんどの方から好意的な反応をいただきました。「声をかけていただいてやる気が出ました」という声や御礼の手紙を送っていただいたり、全体的に喜んでもらえたのではないかと思います。
― 次に展示方法やレイアウトなどで工夫した点について聞いていこうと思います。最初に展示会場である宮崎県・都城市立図書館の特長を教えてください。
都城市立図書館は都城市役所にほぼ隣接している古い建物です。アクセスとしては宮崎空港・鹿児島空港から車で1時間ほどの場所に立地しています。平成30年を目途に中心市街地へ移転する予定となっており、現在の図書館には手を加えず、電球一つとっても暗いような場所となっています。来場者数は減少しており、お年寄りから小さな子供、よくても学生が学習室を借りるために来ているような現状です。
― 話を聞く限りでは必ずしも立地面で優れているわけではないという印象を受けます。そのような場所で「全国フリーペーパー展」を仕掛けようと思った狙いは何かあるのでしょうか?
前回のインタビューでもお話ししましたが、都城市立図書館の皆さんと交流する機会があり、来場者を増やすために何かしたいという相談を受けました。そのときに、「全国フリーペーパー展」のことを話したら、すぐにやりましょうという話になりました。
また、個人的にはマイノリティを引き出したいという狙いがありました。これも前回にお話ししましたが、私が代表をつとめているCUROCOが地域社会に選択肢を増やすというコンセプトを掲げており、情報に流されがちになっている世の中で「こういう情報もあるんだよ」ということを見せたかったという狙いがありました。
― 来場者に媒体の魅力や発行者の想いを伝えるために展示方法やレイアウトで工夫したことを教えてください。
図書館には階段とスロープの2種類の入り口があり、足腰の弱いお年寄りなどはスロープを使いながら入ってくることを想定しました。スロープ側の導線には『コモ・レ・バ?』などレトロでノスタルジックな題材を扱うフリーペーパーを配置しました。
亡くなってしまった昔の女優さんや昔の映画のワンシーンなどが紹介されたページはあえて開いたままで展示し、お年寄りの皆さんの滞在時間を増やす工夫を凝らしました。
人って結構、人の顔を追うんですよね。入口に見知った有名人の顔があったら驚くわけですよ。平積みにしていたら埋もれてしまうようなものでもパネル展示にすることで際立たせていきました。
パネル展示をアイキャッチのようにして、会場内に狭い迷路のような導線を作っていきました。順路のなかに椅子をランダムに配置し、気に入ったフリーペーパーがあればその場で観覧できるような形にすることも心がけました。
― フリーペーパーの特長をとらえながらレイアウトを考えていったということですね。
提供していただいた全てのフリーペーパーに目を通し、どのように展示したら中身の魅力が伝わるのか媒体ごとに考えていきました。
図書館での展示は大概まっすぐで直線的に配置されているものが大半ですが、斜めに見せた方が良いよねという場合は斜めに配置させてもらったり、あえてページを開いて見せるようにしたり、本当に自由に展示させてもらいました。
正直なところ展示方法に関して眉をしかめる方もいましたが、その声を上回る程のよかったという声を聞くことができました。会期中はほとんど会場にいたのですが、話を聞きたいと多くの方に声をかけていただきました。
― ポップを活用したという話も聞かせてください
当然、全部の冊子の中身を見てもらいたいとは思っていたのですが、全てを広げて展示をすることは難しい。それじゃあ、ポップを貼って、あらすじや概要、何のことだろうと思わず中身を確認したくなるようなポップを考えていきました。
例えば、「このページを見ればヨダレが止まらない」というようなキャッチフレーズを書いて、そのページを見てみると「Fのさかな」の鉄火丼の特集が出てきたり、文学系のフリーマガジンなどに関してはあらすじを書いてみたり、、、手に取ってみようと思わせる工夫をしました。
普段は来館者が少ない図書館内に多くの方が1、2時間も滞在する様子を見るのはなかなか感動的でした。
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今回は「第1回 全国フリーペーパー展」を開催するまでにどのような準備をしてきたのか話を聞きました。フリーペーパーをただ並べるだけでなく、展示方法やレイアウトを工夫することで、フリーペーパーの魅力を最大限に伝えることができる。展示会をしたいと考えている皆さんにとって参考になる部分もあったのではないでしょうか。次回からは当日編ということで「第1回
全国フリーペーパー展」開催中の様子をお伝えします。どうぞ楽しみにお待ちください。
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