宮崎県都城(みやこのじょう)市の都城市立図書館で昨年9月に開催された南九州エリアで初めてとなるフリーペーパーイベント「タダモノの祭典
全国フリーペーパー展in都城」。フリーペーパー愛好家や図書館関係者の間で大きな反響を呼び、盛況のうちに幕を閉じたことから今年も開催が決定しました!展示会の開催期間は9月3日から18日までの2週間。今年はさらにボリュームアップした内容の展示会を企画しているということで、フリペ通信もメディアパートナー兼選書担当として協力することになりました。当サイトでは展示会を盛り上げるために企画者のキクカワマサミさんにインタビューを決行。数回に分けて「全国フリーペーパー展」開催のきっかけや想い、裏話などを紹介していきます。
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・「全国フリーペーパー展」開催への道 #2 : 情報に流されがちな世の中で「こういう情報もあるんだよ」ということを見せたかった。
― 前回までは「第1回 全国フリーペーパー展」の準備や当日までの心境などについて話を聞いてきましたが、今回から2回に分けて会期中の様子について話を伺います。まずはどのくらいの人数が来場したのか教えてください。
「第1回 全国フリーペーパー展(以下、フリペ展)」の会期は15日間ありましたが、9889人の方に来館していただきました。1日で大体、600人の方に足を運んでいただいたことになります。
― 普段の図書館の利用者数からするとかなりの人数になるのではないでしょうか。
図書館業界の情勢ですが、年々、来館者数が前年比を下回っている場所が大半で、都城市立図書館も例外ではありません。今までにもいろいろな展示会を行ってきましたが、利用者数が増えるということはありませんでした。そのような状況のなか、フリペ展の会期中は多くの方に来館していただき、前年比の来館者数を上回ることができました。
― どのような方が来場したのでしょうか。
フリペ展ではビジネスパーソンや20代の若者たちをターゲットにしていたのですが、狙いがぴったりはまり、普段はあまり図書館にこないような方が足を運んでくれました。なかには、都城市に住んでいるけれど初めて図書館にきたという方もいらっしゃいました。来場者の皆さんがツイッターやフェイスブックなどで「面白いことやってるよ」と情報を広めてくれたことが大きかったと思います。
― インターネットやSNSでの反応があったということですか。
会場内での写真撮影を許可していましたし、会場の入り口に設置していた岡本太郎の似顔絵チョークアートを見てすごいと言っていた方に「写真撮りましょうか」などと積極的に声をかけていきました。私たちが事前に行っていたプロモーションよりも、身近な知り合いがフリペ展の感想をSNSにあげてくれたことで興味や関心が出てきたという印象があります。
― 展示会の情報をウェブで知ったという方も多かったのでしょうか。
フリペ展のFBページを見て足を運んだという方や、SNSで「行ったほうがいいよ」というコメントを見て会場に来たという方が結構いました。地方都市は都会ほど広告物に触れる機会は少ないのでSNSから情報収集している人は多いと思います。若い方はtwitterなどをよく利用していますけど、年配の方でも関連性やつながりを求めて活用している方もいます。情報には敏感だと思いますので、今年の9月に開催する「第2回 全国フリーペーパー展」の情報も早めに出していこうと考えています。
― フリペ展では“動く展示”を意識したそうですが、その話を聞かせてください。
フリペ展では毎日、会場のディスプレイや椅子の位置を変えるなど変化をつけていきました。会期中はほとんど図書館に滞在していたのですが、館内に机を置かせてもらい、朝から晩までポップを書きながら接客していました。これが好きなら、これも好きなんじゃない?というようなものを引っ張り出して提案していきました。
会期の途中で冊子が送られてくることもありました。『Fのさかな』などは残り5日くらいで到着したのですが、「新鮮なの入りました!」などと案内しながら見せ方を工夫しました。
来館者から質問があって資料を出すということはあっても、普通は図書館側から売り込むようなことはしないですよね。ショップの店員がお客さんに話しかけるみたいにコミュニケーションをとっていきました。それがハマると滞在時間がさらに伸びたりするんですよね。そういう面白さがありました。
― 来場者の反応はどうでしたか。
例えば、2、3人のグループで来られた方は、「ちょっとこれすごいよ」とか「これ面白い」など和気あいあいと見られていましたし、ひとりで来られて1時間以上滞在してバックナンバーまで貪り読んでいた方もいました。
― どのようなフリーペーパーが人気でしたか。
タブロイド判のフリーペーパーが質感も良く、評判がよかったです。『UNIQUES』などのデザインやレイアウトはこちらでは見たことがないようなもので目を惹いていました。長時間滞在された方などは特集記事をよく読まれていました。鹿児島のブランディング情報誌『Region』などは毎号特集が面白く、人気がありました。
― 『UNIQUES』などは東京の話題などが含まれているものだと思いますが、地域に関わらず内容的に面白いものが注目を集めたということでしょうか。
いくつか思考はあると思います。オシャレ思考の方、ユニークな発想を求める方、ノスタルジックを感じる方、刺激を求める方、旅行気分を求める方など、各々の趣向によって求めるものは様々だったと思います。
― 図書館は静かにしなければいけないというイメージがありましたが、にぎやかな15日間になったのですね。
そうですね。にぎやかな雰囲気になりました。
確かに図書館内で会話が聞こえてくると、うるさくて嫌ですよね。そこで、人の声を打ち消すために館内で初めて音楽を流すという工夫をしました。エントランスにオーディオを入れまして、ベートーヴェンの交響曲などのクラシック音楽をBGMで流しました。
人の会話は非常に気になりますが、音楽が流れていて気になるということは少ないと思うんです。イメージとしては音楽を流して、音を消すみたいな感じ。図書館側はクレームが出るのではという反応をしていましたが、クレームはなかったです。これは上手くいったなと思います。
― BGMにクラシック音楽を選んだ理由も教えてもらえますか。
イージーリスニングという案もあったのですが、交響曲を流すことで違和感を植えつけたいという気持ちがありました。図書館に入った瞬間に「何をやっているのだろう」と心をざわつかせたり、「いつもの図書館と違うよね」と驚かせたい気持ちがあったので雰囲気作りを徹底しました。
― 配布用のフリーペーパーがすぐになくなってしまったという話を聞かせてください。
発行者の皆さんに配布用のフリーペーパーも提供していただいたのですが、ほぼ2日目で無くなりました。性格的にノリがいいので無くなったら次どうぞという感じで渡していたのですが、まさかこんなに早く捌けてしまうとは思わなかったということが正直なところです。
― 1人で何十冊も持っていく方もいたのでしょうか。
何十冊とまではいきませんが、10冊とか手にする方はいました。3日目以降は冊数が少なくなってきたので、一人2冊とかに限定し、タイミングを見計らって補充していきました。それでも、ちょっとお茶に飲みにいって戻ってきたらもう無いみたいな。そんな感じのペースで無くなってしまいました。
― キクカワさんもフリーペーパーを作って配布したとか。
2日目に配布用のフリーペーパーが無くなってしまった後、架空の人物を紹介する「架空の人」というフリーペーパーを作って配布しました。現代の人もいれば歴史上の人もいたり、ありそうだけどないような名前を考えて、ライフスタイルを紹介するという内容です。
― どのような反応があったのですか?
豆本スタイルで、手書きで作っていたのですが、会場内で製本していると「何かやっている」という感じで皆さんが集まってきて、並んで待っているみたいな。サイン会のような変な空気でした笑
― ほかにも架空の映画を紹介するフリーペーパーを作ったそうですね。
同じものを作っても面白くないので、次に架空の映画をプロモーションする「架空シネマ」というフリーペーパーを作りました。こちらは、A4サイズ、16ページに渡って架空の映画を紹介するという内容で、折本にして配布しました。
スペースに空白ができると寂しい感じがしますし、配布物が無くなってしまったら「もうないの?」となりますからね。臨機応援にアドリブで対応していきました。
― フリペ展を開催してどのような反応がありましたか。
都城市立図書館へのアクセスは宮崎空港・鹿児島空港から1時間。駅から少し離れたところに立地しているため、車がないと来館は難しいです。現実問題としてフリペ展を見に東京や大阪から人がくることは想定していなかったのですが、お隣の鹿児島県などからフリーペーパーを見るためだけに車で2時間半かけて足を運んでくれる方が大勢いました。
都会であれば買い物のついでなどで立ち寄ることもできるでしょうけど、純粋にフリペ展を見るためだけに2時間半も車を走らせてくる熱量はかなりのものだと思います。フリペ展に来場していただいた方からは「来てよかった」という生の声を聞くことができましたし、図書館関係者の注目を集めることができました。本当に多くの方に来場していただけてありがたかったです。
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フリーペーパーをただ見せるだけでなく、来場者とコミュニケーションをとりながら巻き込んでいく。一風変わった展示スタイルが多くの方の反響を呼んだ秘密かもしれませんね。さて、フリペ展ではフリーペーパーの展示に付随してさまざまなイベントが開催されました。次回は展示会以外のイベントについて話を聞いていきます。どうぞ楽しみにお待ちください。
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