宮崎県都城(みやこのじょう)市の都城市立図書館で昨年9月に開催された南九州エリアで初めてとなるフリーペーパーイベント「タダモノの祭典 全国フリーペーパー展in都城」。フリーペーパー愛好家や図書館関係者の間で大きな反響を呼び、盛況のうちに幕を閉じたことから今年も開催が決定しました!展示会の開催期間は9月3日から18日までの2週間。今年はさらにボリュームアップした内容の展示会を企画しているということで、フリペ通信もメディアパートナー兼選書担当として協力することになりました。当サイトでは展示会を盛り上げるために企画者のキクカワマサミさんにインタビューを決行。数回に分けて「全国フリーペーパー展」開催のきっかけや想い、裏話などを紹介していきます。
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― 前回に続いて、今回も会期中の様子について話を伺います。「第1回 全国フリーペーパー展」ではフリーペーパーを展示するだけではなく、さまざまなイベントを開催したそうですね。どのようなイベントを開催したのか教えてください。
イベントを開催することを事前に細かく決めていたわけではなく、現場の様子を見ながら、臨機応変に企画していきました。会期の前半週の平日は毎日、ランチタイムトークショーを開催しました。
私が一人で話すのではなく、ダブルスピーカーで出来るだけ多くの人たちを巻き込みたいと考え、初回のゲストとして展示会のポスターを作ってくれたジェームス・ハリスさんに参加してもらいました。
― ジェームス・ハリスさんとはどのような方なのでしょうか
ジェームスは宮崎県在住の画家です。絵を教えたり、英語教師をしたり、東京でも作品展などを開催しています。フリペ展の開催が決定し、ポスターを誰かに書いてもらえないかと個展を回っていたときに彼と出会いました。
作品が個性的で、性格がポジティブ、質問をしても流ちょうな日本語を使ってデーブ・スペクターみたいに冗談で返してきたり(笑)とにかく面白い男です。
― どのような話をしたのでしょうか。
彼は画家なのでフリーペーパーのイラストや海外のフリーペーパー事情などについて話を聞きました。展示されていたフリーペーパーのなかでは『Meguru』というアート系の冊子に興味を示していました。
外国人が話をしていると人が寄ってくるんですよね。彼自身も楽しみながら、「海外にはこういう文化はあんまないよ」とか気さくな感じで話が進み、とても盛り上がりました。
― ほかにはどのような方をゲストに呼んだのですか。
月曜から金曜まで毎日予定を詰めていたのですが、身近な方をゲストに呼びたいという気持ちがありました。2日目は都城の冬の大型イベント、神柱ピクニック実行委員会の東広直さんに声をかけました。 東さんは印刷屋が本業なんですけど、まさかこんなところで話をするとは思わなかったということから話が始まり、印刷屋から見たフリーペーパーの可能性など話してもらいました。
会場に展示されたフリーペーパーを例に挙げ、「この町にはないし、冊子を作ってみたいです」というような話から、「やるなら広告を取りたい。広告を取る仕組みを考えなければいけないね」という感じで。何も答えはないのですが、考えるきっかけになりました。
― マニアな方もゲストに呼んだそうですが。
宮崎県綾町で地域おこし協力隊をしている曽我さんをゲストにお誘いしました。彼は乗り物や狭い道などをこよなく愛する男でちょっとしたマニアなんですね。そういったマニアの話を聞くことが楽しくて、そのなかでも伝えたいという想いを軸に話をしてもらいました。
マニアな話題から派生して、「こういうフリーペーパーが良いよね」という感じでトークを展開していきました。彼が選ぶフリーペーパーは散歩系や乗り物系のものが多かったのですが、マニアな視点でフリーペーパーを見るとどうなのかという話をすることができました。
― 様々な角度からフリーペーパーを読み解く機会になったのですね。
そうですね。毎回の参加者は20名くらい。天気も良く、木陰でお弁当を広げながら、話を聞いてくれました。ただ、打ち合わせなしで話を始めるみたいな流れになってしまい、スピーカーの皆さんには本当に迷惑をかけました。
― 次に青空フリペ会議について話を聞かせてください。
フリーペーパーだけに関わらず、図書館や街のことについて、みんなで話してもいいかなと思い、展示会の最終日に青空フリペ会議を開催しました。テーブルや椅子をお借りして、6時間に渡ってイベントを開催しました。
― どのような内容の話をしたのでしょうか。
都城では現在、まちづくりについて「このままでいいの」というような議論が起きつつあり、そのような話や図書館の移転に関する話、例えばどこが指定管理を受けるのか、そもそも本を読まなくなっているのは何故だとか、様々なことを話し合いました。
― 6時間とは長丁場ですね。
それがアッという間でした。じゃあこれについて話しましょうかという感じでテーマを決め、参加者に「どう思いますか?」と話を振りながら話し合いを進めていきました。何か意見がある人は顔に出るのですぐにわかります。結論を出すというより、考えるきっかけを作ったということが重要で、6時間という長丁場でしたが、最初から最後までいる方もいました。
― どのような方が参加していたのですか?
行政職員から学生まで、様々な方に参加してもらいました。学生が熱心に話を聞いてくれたことが良かったですね。年功序列というか、年長者を敬うという文化が良くも悪くも残っているなかで、若者に働きかけるきっかけを作ることができました。
― 「第1回 全国フリーペーパー展」を開催してどのようなことを考えましたか。
抽象的な話になってしまうかもしれませんが、私がしていることは誰も何も気にしないような路傍の石をじっくり眺めて、裏はこうなっている、こういう使い方ができるということを提示することだと思っているんです。普段あるものに対して見方を変えたり、見たことがないものを見せることによって、どう思うのか、どう考えるのか、何かが変わるのか情報の選択肢を増やしていく。それが全国フリーペーパー展の開催にもつながりました。
先程、まちづくりという話が出ましたが、行政の主導で「まちを盛り上げよう」という動きが各地で起きています。現状としては、そういった集まりの中心にいるのは、まちづくりの活動で飯を食っている人、もしくは飯を食いたい人、そして、あまり好きな言葉ではないのですが“意識が高い人”だと思っているんです。でも、まちづくりに関することは実際に地域で生活している皆さんに関係することが多いですよね。
フリーペーパーやフリーペーパーに付随する何かのアクションなどは地域のプレイヤーを発掘し、関連性を紐づけるという捉え方もしています。フリーペーパーを身近なものだと感じてもらえれば、情報を発信してみようという気持ちになるかもしれないですし、何かしらの行動につなげることもできるかもしれません。
そのようなことを考えたとき、フリーペーパーを並べてただ褒めたたえるのではなく、こういう考えもできるんだというような選択肢を提示することができたと考えています。
― 最後に「第2回 全国フリーペーパー展」の意気込みをお願いします。
フリーペーパーの“フリー”にはTAKE FREEという意味だけでなく、自由な発想、自由な表現という想いが込められていると思っています。今年9月に開催する「第2回 全国フリーペーパー展」でも発行者の皆さんの想いを伝え、恩返しをすることができるように努めていきます。
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以上、4回に渡るロングインタビューで「第1回 全国フリーペーパー展」の様子を紹介してきました。フリーペーパーをただ並べて展示するだけであれば、誰でも、いつでも、どこでも開催することができると思いますが、展示会にかける情熱や想い、オリジナリティを求める姿勢、宮崎県都城市で開催した意義などを少しでも知ってもらえたらと願っています。次回はいよいよ開催が迫る「第2回 全国フリーペーパー展」の様子を先取りで紹介していきます。楽しみにお待ちください!
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